Substackをどう始めるか、英語圏マーケター10人の事例を調べて「音声だけ出す」と決めた理由
Substackのメルマガコピペ、それ超危険です
最近、わたしの周りでSubstackを始める方が増えてきました。
日本ではまだマイナーですが、英語圏ではぐんぐん伸びていて、発見されやすい仕組みもあって、「なるほど、これは面白そう」と感じる方が多いみたいです。
わたしも「始めようかな」と思って、以前調べたことがあったんです。
Substackが台湾の情報発信者に人気(Stand.fm)
でも、調べていくうちに、いきなり飛びつくのは危険かも、と自分の中のアンテナが立ったんです。
前提:わたしのメルマガと音声配信の状況
わたしは今、海外製のメルマガ配信ツール「Kit」(旧ConvertKit)でメルマガを3,300人に配信しています。
Spotify、Voicy、stand.fmなどで音声配信もしています。総リスナー数は合計3,000人くらい。
主な収益源はUdemy講座とnoteメンバーシップ「ジドオタ」で、Kitのメルマガは、そこへの導線として機能しています。Kitのメルマガは単なる配信ツールではなくて、Udemy講座やnoteメンバーシップへのCTA(読者に行動してもらう呼びかけ)を設計できる場所で、わたしのビジネスの動脈にあたる場所です。
ここに「Substackというメールに届く媒体」を足すとき、何も考えずに同じ内容を流し込んだら、Kitのメルマガ購読者3,300人に解除されない?という不安が湧いてきました。
メルマガ購読者はマーケターにとって命です。Substackもメルマガのように、メールアドレスに届きます。既存のメルマガ読者に、メルマガと同じ内容のものがSubstack経由で届いたら、メルマガを解除されるかもしれません。
未購読者だったとしても、Substackでもメルマガと同じものが読めるなら、今後メルマガに登録してくれる可能性がなくなってしまいます。
どちらも困ります!
そこで、英語圏の事例を調べまくりました。なぜならばメルマガも音声配信もSubstackも英語圏のほうがずっと進んでいるから。この記事は、その検証結果と、わたしがたどり着いた結論のレポートです。
結論から先にお伝えすると、わたしはこうしようと思っています。
Substackには音声配信だけ同じものを流す。
音声の内容を記事に加工したテキストを同じ投稿に添える。
Kitで配信しているメルマガ本文はSubstackには出さない。
無料note記事は当面転載する。
なぜこの結論に至ったのか、10人の英語圏のマーケターの事例を引用しながら書いていきますね。他の人にそのまま当てはまるわけではないですが、参考になれば嬉しいです。
Substackって何?という前提整理
本題に入る前に、少しだけ前提を揃えさせてください。
Substackは、アメリカ発のニュースレター配信プラットフォームです。書き手がテキスト記事や音声・動画を配信して、読者はメールで受け取ったり、専用アプリで読んだりします。有料ニュースレターの配信ができるため、英語圏のクリエイター経済における主要な選択肢の一つになっています。
Substackの特徴は大きく3つあって:
発見網が強い — Recommendations機能(他の書き手が推薦してくれる機能)、Notes(SNSっぽい機能)、カテゴリランキングがあって、読者が新しい書き手を見つけやすい
音声・動画も扱える — ポッドキャストのホスティング機能があって、Apple PodcastsやSpotifyにも自動配信できる
有料サブスクできる — 有料購読者限定のコンテンツを配信できる。手数料は収益の10%
一方、わたしが今使っているKit(旧ConvertKit)は、アメリカ発のメルマガ配信ツールで、英語圏のクリエイターの定番中の定番です。日本だとMyASPが有名ですね。Kitの特徴は「自動化とセグメント機能がめちゃくちゃ強い」こと。読者にタグをつけて、タグごとに違うメールを送ったり、特定の行動をしたら自動でメールが飛ぶようにしたり、ステップメールを配信したり、細かい設計ができます。
Kitはこちら(無料でも始められます)
検証1:自前のメルマガリストを持つ人は、Substackをどう使っているのか
Substackを始めるべきか悩んだとき、最初に調べたのは「英語圏ではすでにメルマガリストを持っているマーケターは、Substackをどう使っているのか?」でした。
英語圏のマーケターたちを調べていくと、一つのパターンが見えてきたんです。自前のリストを持つ人ほど、Substackを「代替」ではなく「補助」として使っている、ということです。
事例1:Anna Burgess Yangさんの「3プラットフォーム併用」設計
いちばん参考になったのが、Anna Burgess Yangさんの運用設計でした。彼女はフリーランスのコンテンツマーケター&ジャーナリストで、Substackで週刊、Kitで隔週、Ghost(別のブログプラットフォーム)でブログ、この3つのプラットフォームを併用しています。
ポイントは、本文を全文そのままコピペするのではなくて、役割を完全に分けているところ。彼女自身のブログ記事にこう書いてあります:
ざっくり訳すと、「Kitの魅力は裏側の自動化。すべてのプラットフォームのメール購読者はKitに集約する。でも、読者が期待していない内容は絶対に送らない」ということ。
つまり、Substackは発見網として使い、Kitは運用の中枢として残す、という設計なんですね。これはわたしの今の状況にかなり近いので参考になりました。
事例2:Jeff Kaufmanさんの「追加の読書面」設計
もう一人、Jeff Kaufmanさんの例もシンプルで分かりやすかったです。彼は自分のブログを本体として持っていて、Substackを追加したときの記事で「another way to read my posts」つまり「わたしの投稿を読むための、もう一つの方法」と位置づけていました。
その後、彼はさらに運用を絞り込んで、Substackには「とくに良い投稿だけ、全体の10〜25%くらい」を出すように変えました。理由は「メール配信が多すぎて、読者にとってノイズになるのが嫌だから」。
自前の発信媒体(Jeffさんの場合はブログ)を持っている人は、Substackに全部コピペして流すのではなくて、意識的に絞っているという事例です。
事例3:Write Build Scaleの「Substackは発見チャネル」設計
Write Build Scaleというチームの運用も参考になりました。彼らは2年でSubstack購読者45,000人・有料1,500人・月$50k(約750万円)のビジネスを築いていて、英語圏ではかなり有名です。
彼らはYouTubeショートでこう明言しています。
Substackはわたしたちの発見と成長のチャネルです
彼らはKitでのメルマガも併用していて、Substackでは有料購読を集めつつ、Kitのメルマガに登録させてバックエンド商品を販売するための入り口としても使っているんですね。
彼女たちのMedium(日本でいうnote)、Substack、メルマガの使い分け戦略はとても勉強になったのでレポートにしました。無料で受け取れるようにしていますので、ほしい方はこちらからどうぞ。
海外マーケターから学ぶSubstackとメルマガの使い分けレポート
ここまでの検証から見えたこと
3人の事例に共通するのは、「Substackは発見網、Kitは運用の中枢」という役割分担でした。Kitを持っている人は、Substackに全部を流すんじゃなくて、意識的に絞って使っている。全文コピペはしていない。
じゃあ、全文コピペした人はどうなったのか。次にそれを調べました。
検証2:メルマガ全文コピペを試した人に、何が起きたのか
わたしが一番恐れていたのは、「Kitの本文をSubstackにも流したら、メルマガ読者がSubstackに流れてしまう」というシナリオ。これを実際にやった人がいないか、探しました。
事例4:Alex Roddieさんの「両方送ったら読者がSubstackに流れた」事件
いました。Alex Roddieさんです。彼はイギリスのアウトドア作家で、自分のサイト(Ghostで運営)とSubstackの両方で、同じ内容を同時に配信することにしました。本人も「content will be identical」(内容は完全に同じ)とはっきり書いていたんです。
でも、どうなったと思いますか。彼自身が書いた振り返り記事にこう書いてあります。
全文コピペを始めたら、多くの読者が自サイトの購読を解除して、Substack側に登録しちゃったそうです。
これは、わたしが一番恐れていたシナリオ、そのもの。
最終的にAlex Roddieさんは自サイトからSubstackに一本化しました。わたしとは逆の決断です。
彼のサイトのメルマガには、有料のCTAや自動化がそこまで入っていなかったから、移行できた。でもわたしのKitには、Udemy講座やnoteメンバーシップへのCTAと、タグによるセグメント配信が入っています。それに、今後Substackが流行らなくなった時にもリスクが高い。
Alex Roddieさんの事例は、「全文コピペすると、既存の購読者がSubstackに流れる」という、わたしが一番避けたいパターンの裏付けになりました。
「SubstackでメールアドレスをCSVでエクスポートしてKitなどのメルマガツールに入れればいいからリスクにはならないのでは」と思う方もいるでしょう。それについてはのちほど解説しますね。
事例5:読者に「二通届くから片方解除して」と案内したAlexさん
メルマガ→Substack全文コピペ事例をもう一人ご紹介しましょう。Alex Roddieさんは2024年12月の記事で、読者に向けてこう説明しています。
To reiterate: the content will be identical on both platforms. But it does mean that you’ll need to decide where you prefer to follow my writing.(内容は両方のプラットフォームで同じです。でも、あなたはどちらで読みたいか決める必要があります)
「二通届いたら、片方の購読を解除してください」と案内しているんです。
これは、同じ本文を複数プラットフォームから配信すると、読者が実質的に「どっちを選ぶか」を選択することになる、ということを示しています。
わたしに当てはめると、3,300人のメルマガ読者に「このメルマガ(Kit)とSubstack、どちらかを解除してください」と聞くようなもの。メルマガ解除されたら困ります!そんな危険な賭けはできません。
事例6:Dylan RedekopさんのSubstack→Kit移行
Kitでのメルマガに集中することを決めた方もいました。Dylan Redekopさん(Growth Currencyの運営者)は、最初Substackで始めたのですが、9か月後にConvertKit(現Kit)に完全移行したんです。理由はこうです。
1:Substackは有料購読がメインだが自分はその機能は使わない
2:Substackはマーケティング分析機能が劣る
3:Substackには自動化機能に欠ける
Substackはシンプルさが強みだけど、タグやセグメント、自動化の柔軟性では、Kitに明確に負ける領域があるんですよね。彼は「Substackの分析とセグメント機能の弱さ」が移行の決め手になったと書いていました。
これは、わたしがKitを手放せない理由とも重なります。Kitで作り込んだタグ、セグメント、自動化は、Substackでは再現できないんですよね。
また、もうひとつ重要なことを言っています。Kitに移行したら開封率が上がったと。
これはマーケターとしては超重要な観点です。Substackをプラスアルファとして使うのはいいとしても、「メルマガとSubstackどちらかを選んでね」なんて言えない、ということです。
ここまでの検証から見えたこと
結論ははっきりしました。
Kitで送っているメルマガ全文を同じ内容・同じ頻度でSubstackにも流すことは、Kitの解約率を上げる方向にしか働かない。
Kitの本文は、Udemy講座への導線、noteメンバーシップの告知、期間限定CTAなど、収益に直結する設計が入っている場所。そこを薄めることは、ビジネスの動脈を細くすることと同じです。
これは「やらない」が答えになりました。
検証3:じゃあ、音声だけ流すのはどうなのか
テキストの全文コピペはやらないと決めた。では、音声だけならどうなのか。ここが次の検証ポイントでした。
Substackは音声プラットフォームとしても強い
Substack公式のfeaturesページを見ると、Substackは今、テキストだけのプラットフォームじゃないんです。ポッドキャスト配信機能が充実していて、Apple PodcastsやSpotifyへの自動配信、ダウンロード数の分析、文字起こし対応まで全部入っています。有料購読者限定のプライベートポッドキャストもできちゃう。
そしてSubstack公式が出している数字として、「音声を使っている書き手は、使っていない書き手より2.5倍速く成長している」というデータもあるんです(Sparkle on Substackの要約記事で言及)。これは強い主張ですが、実例でも裏付けられていました。
事例7:Lenny Rachitskyさんの「音声とテキストの相互フィード」
Lenny Rachitskyさんは、Substackで購読者120万人超、Businessカテゴリで#1の人です。彼のポッドキャストはテック系でグローバルTOP10に入るほど伸びていて、Fast Companyの記事によると、ポッドキャストだけで会社員時代の収入を上回るほどなんだそう。
彼の設計のポイントは、音声とニュースレターが相互にフィードし合うところ。ポッドキャストで話したトピックをニュースレターで深掘りしたり、ニュースレターの内容をポッドキャストで再解説したり。両方が相乗効果で伸びている、代表例ですね。
事例8:Laura Kennedyさんの「無料テキスト+有料音声」設計
わたしにとってもっと参考になったのは、Laura Kennedyさんの設計でした。彼女のSubstack「Peak Notions」は1.4万人超の購読者がいて、哲学カテゴリで#36に入っています。
彼女は週次のコラム(文章)は誰でも無料で読めるけど、音声版は有料購読者だけが聴ける、という設計をしています(Substack公式のケーススタディで紹介されています)。最近の投稿でも、音声版は「The full episode is only available to paid subscribers」と明記されていました。
これは、わたしが将来Substackで課金するとしたら、いちばん参考になるパターンですね。本文を課金するのではなく、音声を課金対象にする。
事例9:Chenell Basilioさんの「音声は関係深化のツール」という結論
「成功しているニュースレターがどう伸びたかを逆算して分析する」として、Justin WelshさんやLenny Rachitskyさんの成長戦略を逆算するニュースレター「Growth In Reverse」を運営しているChenell Basilioさんは、英語圏のニュースレター業界でも有名な分析家の一人。購読者は4万人超。
彼女は自分のポッドキャスト「Growth In Reverse Podcast」を6か月運営したあと、その結果を率直にシェアしてくれていました。
Podcasting isn’t a shortcut to growth — but it’s a hell of a way to deepen relationships.(ポッドキャストは急速なメール登録の増加にはつながらない。でも、関係性を深めるには最高のツール)
これはわたしが元々期待していた通りの答えでした。音声はメルマガを読んでくれている人との関係性をより深めるためのツールです。爆発的な新規リスナーを期待して音声配信を始めると、がっかりしちゃいますが、既存のフォロワーとの関係を深め、別ルートの発見を作る、というのが正しい期待値でした。
ポッドキャストをSubstackでテキストとしても配信するという戦略
わたしのポッドキャストは、基本的にメルマガとは違う内容を話しています。
つまり、わたしの音声配信の内容をそのままSubstackに流しても、Kitメルマガの価値とカニバりません。ここが最大のポイントでした。
検証4:音声だけじゃなく、テキストも添えるべきか
ここまでで「ポッドキャストだけSubstackに流す」という判断は固まりました。でも、もう一つ考えたのが、「ポッドキャストを記事にしてはどうか」ということ。
事例10:Heather Cox Richardsonさんの「朗読型」設計
Heather Cox Richardsonさんは、Substackで300万人超の購読者を持つアメリカの歴史学者。彼女は毎日の政治コラムを書いていて、それの音声版もポッドキャストとして配信しています。
テキストと音声がセットになっていて、読者は好きな方で消費できるんです。彼女はおそらくテキストが先で、それをポッドキャストにしているのですが(しかもたぶんAI音声)、ポッドキャスト✖️記事の組み合わせの可能性を感じさせられる事例です。
無料note記事を転載しようと思ったわけ
理由はシンプルで、
Substackはメールアドレス取得できるんだから、メルマガリストに加えちゃえばいいんじゃない?と思ったあなたへ
実はこれ、リスクも大きいと思っています。
Substackであなたをフォローした人には@substack.comからメールが届くんです(課金すれば独自ドメインも設定できる)それに見た目もSubstackっぽいんですよね。
そこでいきなり、登録した覚えのないメルマガが送られてきたらどうでしょうか。わたしなら解除してしまうかもしれません。
解除ならぶっちゃけ全然よくて、ブロックされたり通報されたりしたら最悪です。ドメインパワーが弱まって、あなたのメルマガ自体が届きづらくなりかねません。
移す時は慎重にどうぞ。
ウミノのSubstack設計
さて、ここまでの10人の事例を踏まえて、わたしの設計はこうなりました。
ポッドキャスト+音声内容を加工したテキストのセットで投稿
メルマガ本文とは内容が異なる
当面はnoteの無料記事の転載も実験的に行う
どこまで自動化できるか?がキモ
メルマガ読者の解約を避けるが最重要
この設計であれば、一番大事な「Kitメルマガ3,300人の解約を避ける」が守れます。Substackに出すテキストは音声を元にしたものだから、Kitの完全版本文とは内容が違う。重複受信のリスクがないんです。
Alex Roddieさんの事例のように「読者がSubstackに流れちゃう」ことも起きにくい。なぜなら、Kitメルマガの本文とSubstackの投稿は、そもそも別物だから。「どっちを読むか選んでください」という状況にならないんですね。
デメリットはめんどうくささ
最大の敵はめんどうくささです。これまでのフローに加えて
Substackに音声をアップ
音声を文字起こしして記事にする
記事化した内容をチェックする
記事をSubstackにアップする
という手間が生じます。どこまで自動化できるか・・・いろいろ模索してみます。
Sinem Günelさんの事例を深掘りした「海外マーケターから学ぶSubstackとメルマガの使い分けレポート」はこちらから受け取れます










まさにやろうかと検討してたところだったので、すごく助かる記事でした✨️ありがとうございます❣️
勉強になります